プエルトリコは、カリブ海北東にいちするアメリカ合衆国のコモンウェルス。プエルトリコ人はアメリカの市民権が与えられており、20世紀前半から、多くのプエルトリコ人がアメリカに移住を開始。新天地として選んだ街はニューヨーク。彼ら/彼女等の多くがブロンクス、そしてマンハッタンのイーストハーレム地区を中心にコミュニティを作り上げていった。
トライベッカに登場したオーセンティックな一店
トライベッカに新しくオープンしたレストラン、「サソン」。サソンとはプエルトリコ料理には欠かせない調味料。その名前にふさわしく、伝統的なプエルトリコ料理を提供するレストラン。
トライベッカという土地柄から、おしゃれでシックな雰囲気も醸し出しながら、プエルトリコでよく見られる木の壁を調和させて、ルーツを感じられる内装。ビビッドなオレンジカラーで、カリビアンをテーマに、店内では軽快なラテンの音楽が流れている。
地下にはラウンジがあり、サルサバンドがライブ演奏を行う。プエルトリコの雰囲気を更に作りあげるため、わざわざ現地からキューバ製のタイルを輸入し、2ヶ月かけてフロアを作り上げた。
「オーセンティックな味にこだわってます」と語るのは、オーナーのモラレス氏。フュージョンではなく、ストレート・フォワードなプエルトリコ料理がメニューに並ぶ。この話題の店で最も人気のある定番を、今回のスペシャルゲストのYOKOさんがご紹介!
Alcapurrias
挽肉をシチューのように煮込んだものをグリーンバナナやタロイモをすりおろしたもので包んで、油であげたもの。ほとんどのプエルトリカンレストラン、フードスタンドなどで必ず売ってる代表料理。外はかりっと、中はもちっとした食感がウリ!サソンのAlcapurriasは、グリーンバナナのみの生地でとってもオーセンティックな味。サイズも丁度よい大きさでお腹いっぱいにならず楽しめます。
Bistec Encebollado
その名の通り、オニオンステーキ。私の1番好きな料理です。家で作る場合はタマネギをいため、薄めのステーキ肉をアドボ(ラテンアメリカ料理の基本、ガーリックやピーマンフレーバーがついた調味料)で味つけたものをオーブンでローストしますが、サソンの一品は肉は通常のものより厚みがあり、ステーキの焼き方は普通のステーキと同様、レア、ミディアムなどのリクエストができます。その上にしっかりソテーされたオニオンリングがのってきます。
Pernil
サンクスギビング、クリスマス、お祭りといえばペルニル。たくさんの人に行き渡るほどの大きな豚の肩の部分をアドボやサソンなどで前日から味付けし、食べる当日に6時間ほどオーブンで焼いたもの。肉がぽろぽろと柔らかくほぐれるのが特徴。サソンのペルニルは、その大きな固まりの半分ぐらいのサイズ(それでも3人分ぐらい)が、固まりでそのまま一人前としてお皿にのってくる非常に盛り上がる一品です。
Guava empanadas
ラテンアメリカの代表デザート、グワバペーストとチーズのコンビネーションをエンパナダとしてあげたもの。食感はあまずっぱい羊羹にクリームをかけたようなかんじで、なぜかすこし懐かしく感じる一品。サソンでは一口サイズでとても食べやすく、衣も軽めのパイ生地でちょっと高級感のある一品に仕上がっています。
今回の紀行ナビ
サルサはニューヨーク生まれのラテン音楽のひとつで、スペイン語で「ソース」という意味。キューバからニューヨークに渡ってきた。ソン、マンボ、チャチャチャのリズムにソウル、ロック、ジャズという様々な音楽の「スパイス」がニューヨークで混じり合ってできた「音楽のソース」がサルサなのである。NYに移り住んだプエルトリコ人、プエルトリコ系アメリカ人によって確立されたこの音楽。そこに新星のごとく現れた日本人サルサ歌手YOKO。音楽のみならず、プエルトリコの食文化にも詳しい彼女に紀行ナビとしてプエルトリコ料理を紹介していただきました。
YOKO ”LA SALSERA JAPONESA”
大阪出身。高校時代からバンド活動を始め、高校卒業後、京都外国語大学に入学。スペイン語を専攻する。大学在学中に関西のジャズクラブで歌手としてデビュー。サルサ発祥の地ニューヨークで、トップ・ミュージシャンのなかに身を置き、サルサ歌手としての成功を目標として渡米。新天地ニューヨークで積極的に音楽活動を続け、ライブ活動、レコーディングを行う。2008年10月には、待望のデビューアルバム、「LA JAPONESA SALSERA」をリリース。日本人とは思えないスペイン語力と歌唱力でセンセーショナルデビュー。サルサ界の期待の新星として注目を集めている。
ウェブサイト:www.yokosalsa.com