爆発的な新型コロナ感染拡大により、ニューヨークは約1年前の３月から誰も予期せぬ状況へ陥った。学校や会社はリモートになり、多くのビジネスが生き残りをかけた試練に立ち向かうこととなった。
また、ニューヨークが世界に誇る飲食業界も大打撃を受け、レストランはデリバリーとテイクアウトのみ。その後、アウトドアダイニングが始まり、人数制限付きのインドアダイニングがやっと再開されたかと思ったら、数ヶ月後には2度目の感染拡大により再度インドアダイニングは中止に。ようやく2月26日（金）から35%の稼働率で店内での食事ができるようになる。（既に2月12日から稼働率25%でインドアダイニングは再開）
コロナ禍で止むを得ず閉店した飲食店がある中、2020年を乗り切ったお店も大勢ある。特に、地域密着型のお店は、コミュニティーのサポートを受けながら営業を継続。クィーンズ区アストリアにある、お茶の専門店「Tea and Milk」もそのうちの1店だ。
オーナーのマシューに2020年を一言で表すと？と質問したところ、その答えは「CRAZY /クレイジー」。このクレイジーとはもちろん直訳すると狂っていると言う意味だが、ポジティブな表現にも良く使われる。良い意味でもクレージーな1年だったとも取れる答えであった。
1年を振り返り、金銭面、安全面でどんなプレッシャーを感じたかとの問いに、やはり家賃、社員への給与の支払いがとても不安だったと語るマシュー。大家との家賃交渉、経費削減、数名の社員は一旦解雇して失業保険がもらえる手続きなどの対応を行った。また、昨年の3月末頃は、マスクや手袋の入手も難しく社員の安全の確保が難しかったので、デリバリーとテイクアウトのみでの営業はできたが、3月、4月は一時お店を閉店した。
この閉店していた２ヶ月の期間を利用し、店内の改造を行い、飲食スペースを無くしてキッチンスペースを広くし、入り口に近いところでお客様がオーダーできるようなレイアウトに変更した。
また、バブルティーのDIYキットを作り販売を開始。インスタグラムで紹介したら全米からの購入希望が殺到。パンデミックを経験しなければ誕生しなかったこのキットだが、コロナ後も販売を続けていくとのこと。
5月になり、営業を再開した時には、大勢のお客様がお店に足を運んでくれお店の外には長蛇の列ができた。その時の驚きと感動を忘れないというマシュー。まさにTea and Milkがオープンから５年間かけて築き上げてきたお客様との良い関係の表れだ。
また医療従事者の人に感謝の意をこめて病院に無料でバブルティーを届け、地域への貢献も惜しみなく行った。このような活動もお客様との信頼関係をより一層強いものにした要因であろう。
Tea and Milkの挑戦は生き残りだけではなく、コロナ禍にはまれな新店舗オープンということにもチャレンジをした。場所は、観光客に人気のチェルシーマーケット内。もちろんこの新店舗の話は2019年から進んでおり、2020年の夏から工事が始まり、2020年10月31日にオープンとなった。「多くのレストランが閉店するニュースに相反して、こんな時期でも前向きに新しいお店おオープンするというポジティブなメッセージも送りたかった。」とマシュー。
とはいえ、以前のように観光客がいない中でのオープンは厳しいものであった。しかし、今は常連客も増え、少しずつ観光客もチェルシーマーケットに訪れるようになっており、今後徐々に賑わいを取り戻すとマシューは確信している。
2020年がどん底なのだから、2021年は上昇しかない！と力強く語る彼。地域に支えられ地域を支えながら、スモールビジネスだからこそ小回りを利かせ、アイデアと、前向きな姿勢で乗り切った2020年。大変な時だからこそ、ファンを多く持つお店の底力をTea and Milkが証明してくれたのではないだろうか。
Tea and Milk Astoria
32-02 34th Ave Astoria, NY 11106
Phone: 917-294-0450
https://www.teaandmilk.com/
Tea and Milk Chelsea
75 9th Ave
Chelsea Market Lower Level (Pearl River Foods)
New York, NY 10011, US
Phone: 347-369-6232
https://www.teaandmilk.com/
