今ニューヨークで社会現象にまでなっているクロワッサン&ドーナツのハイブリッド・スイーツ、その名も「クロナツ」。ソーホーのドミニク・アンセル・ベー カリーの前には朝8時のオープン前から長蛇の列ができ、テレビレポーターも大興奮、インターネット掲示板には「クロナツ一個につき30ドルであなたの代わ りに並びます」と投稿されニュースになるなど、今ニューヨーカーが一番食べたいスイーツとして爆発的人気を誇っている。ネット上でも「ただアイデアが面白 いだけで本当に並んで買って食べるほどおいしいのか?」など物議を醸しているクロナツ、本当においしいかどうかは実際食べてみなければわからない!という ことで、ペコペコスタッフが実際食べてみた感想を、オーナーシェフであるドミニク・アンセル氏のインタビュー内容と共にお届け致します!
ニューヨーク有名3ツ星レストラン「ダニエル」の元エグゼクティブ・パティシエ、全米トップ10パティシエと輝かしい経歴を持つアンセル氏が独立したのは 2011年末。ソーホーのはずれの日当りの良い場所にバックヤードテラスを併設したブティックカフェをオープンした。店の看板スイーツであるクイニーアマ ンや焼きたてマドレーヌだけでなく、さっぱりと上品なリコッタチーズケーキに抹茶とパッションフルーツのブラマンジェなどフランス人シェフならではの洗練 された上品なスイーツが並ぶ。
今ニューヨーク中のスイーツ好きの熱視線を浴びている「クロナツ」はアンセル氏のオリジナルスイーツ。フランスの代表的ペストリーであるクロワッサンとア メリカンスイーツ代表のドーナツを組み合わせるというアイデアは、パリからニューヨークに移ってきたアンセル氏ならでは。アメリカのスイーツにフレンチテ イスト加えたオリジナルスイーツの模索中に思い浮かんだのだそう。アイデアを思いついてから2ヶ月試行錯誤を繰り返し完成したクロナツ。ドーナツ生地中の 原材料の配合率を変えたり中身をしっとりふわっと仕上げるための揚げ方を工夫したりするのに苦労した。早い人は朝6時から並び出すというほど(同店のオー プンは8時)大人気のクロナツ、現在オープン後30分で200個が売り切れる。生地自体には砂糖を使っておらず、層の中に注入されたバニラビーンズクリー ムがほのかに甘い。上にかかるローズ風味のアイシングも、どこぞのカップケーキ屋のような強烈に甘いという感じではなく、控えめで上品な日本人好みの甘 さ。クロナツ自体も想像していたような油っこさやしつこさは全くなく、クロワッサンの食感とドーナツの味にドミニク・アンセル風のパンチを品よく効かせた いいとこどりのハイブリッド・スイーツに仕上がっている。
アイシングと中身のクリームは月替わりで、5月はローズ&バニラ、6月はメープル&レモンとなる。すべてのペストリーにおいてアンセル氏が一番にこだわる のは、フレッシュさ。クイニーアマンとカヌレは日に数回焼き上げ常に新鮮な状態で提供できるようにしている。マドレーヌにいたっては注文してからオーブン にいれるので常に焼きたてが味わえる。クロナツは準備工程に3日要するので残念ながら朝一度焼いたものが売り切れたらその日の分は終了。インタビュー中に も何度も垣間見えたアンセル氏の量よりも質を重視するという姿勢はさすが職人といったところ。フレッシュさを大事にしたいので作り置きしてまで個数を増や すつもりはないというこだわりは、しっかりとクロナツのクオリティに反映されている。クロナツというアイデア自体はとてもアメリカ人的だけれども、もし シェフがアメリカ人だったならここまで繊細な出来にはなっていなかったはず。”パリからニューヨークに活躍の場を移したフランス人シェフ”のアンセル氏だ からこそ作り出せたこのスイーツ、もしあなたが今ニューヨークにいるならば、並んででも味わうべき究極の一品だ。
早朝に並ぶ余裕はないけれど、どうしてもクロナツを食べてみたい!という人のために電話にて限定数のみプレオーダーを受け付けている。毎週月曜午前11時よりその週の分のみ。日本から来る人は出発前に電話予約しておくのも一つの手だ。(Text: Kana)
Dominique Ansel Bakery
189 Spring Street New York, NY 10012
Phone: 212-219-2773
http://dominiqueansel.com