2011年、ニューヨークシティで最も新しいブルワリーがサウスブロンクスに誕生した。アメリカンペールエールスタイルの「ブロンクス・ペールエー ル」を フラッグシップとする、ブロンクスブルワリーだ。アメリカンペールエールとは、ホップのなかでも繊細かつ柑橘系の芳香と苦みが特徴の北米産ホップをふんだ んに使用し、香りと苦みを際立たせたビールのこと。一般には香り付けとして使用されるホップを苦み付けの段階から使用することで個性的な苦みが生み出され る近年人気のスタイル。濃い琥珀色、力強い味わいが特徴のペールエール「ブロンクス・ペールエール」を作るのは Chris Gallant と Damian Brownの2人だ。
起業のきっかけ
ブロンクス出身の Steve O’Sullivan のインスピレーションを引き継ぎ、ニューヨーカーではないChrisとDamian の2人がブロンクスでビール製造を始めた理由は2つ、高品質なビールへの情熱と、ブロンクスの活性化だ。彼らはそれぞれがビールへの熱い想いを持ってい る。Chrisの前職はビールコンサルタントで、ビール大手ハイネケンで仕事をしていた。Damianはイェール大学を卒業後ソフトウェアのエンジニアを していたが、カリフォルニア大学でBreweryの修士号を取得し、 アルコール製造業のライセンスもニューヨークに来る前に取得している。 安定した前職を捨て、夢を追いかける彼らは「大変なプレッシャーだよ。でも今の方が幸せだ」と言う。 また、かつてブロンクスにはいくつかのブルワリーが存在したが、最後のブルワリーが1960年代に廃業してからブロンクスでのビール製造は行われていな かった。ブロンクスにブルワリーを蘇らせたい、その思いがブロンクスブルワリーの起源となっている。およそ1年間の試行錯誤の結果、彼らはブロンクスらし い”Bold”さをバランスのとれた味わいで表現したブロンクス・ペールエールをもって、数あるニューヨークのクラフトビール界に挑戦する事を選んだ。
ビールについて
ブ ロンクス・ペールエールは.プレミアムな原料に最小限の手のみを加えて作られている。麦芽はイギリス、ドイツ、そしてアメリカの世界的に有名なマイス ターから5種類の麦芽を仕入れており、 カラメル、ビスケ ット、ナッツのフレーバーを醸し出している 。ホップはオレゴンの伝統ある農家から特別に取り寄せたカスケード種、センテニアル種の2種類をたっぷりと使用することで、優しく心地よい苦みと、花や柑 橘系の芳香をビールに加えている。発酵に用いる酵母も厳選した特徴のあるものを使用している。ブロンクス・ペールエールはフィルター濾過や低温殺菌は行わ ないため、フレッシュなビールの本当の味を楽しむことができる。アルコール度数は6.3%とビールにしては高めだが、 バランスがとれた味わいによってすっきりした後味となっている。この個性的なビールには、ビールの味に負けないスパイシーなチリや味のしっかりしたチーズ がぴったりだ。フラッグシップビールのブロンクス・ペールエールだけではなく、新製品も2012年内にリリースする予定。ビールに熱心な彼らの新製品に期待だ。
今後の展開
現 在は、コネティカット州のビール工場の一部を借りて製造を行っている。月に2回、80バレルの仕込みを行い、出荷や配達も自分たちで行っている。まさ に、手作りのビールと言えるだろう。しかし、ニューヨーク市内の ブロンクス・ペールエール 取り扱い店舗も30店を越え、ビジネス拡大の時が近づいているようだ。資金が溜まり次第,彼ら自身の醸造所をサウスブロンクスに建てる予定だ。「サウスブロンクスは良い土地なんだ。マンハッタンに隣接しているし、なによりビ ジネスが育つ雰囲気がある。たくさんの小さなビジネスが芽を出し始めているよ」と彼らは言う。彼らはイベントへの参加にも意欲的だ。3月3日に開催される NYCクラフトビールフェスティバルはもちろん、4月以降も積極的にイベントに参加する。アメリカのクラフトビール市場はビール全体の7%程度に過ぎない が、これを15%まで伸ばしたいと彼らは考えている。クラフトビールがコーヒーの様に広く愛されるように、少しずつ知名度を上げていくことが目標だ。工場 見学ツアーも年内には始めたいとのことだ。今後の展開からますます目が離せない。
The Bronx Brewery, LLC.
Tel: 718-514-9000
Email: info@thebronxbrewery.com
【取扱店】
525 Lex
525 Lexington Avenue
Amity Hall
80 West 3rd Street
Anfora
34 8th Ave #A
Bier International
2099 8th Avenue,
Blind Tiger Ale House
281 Bleecker Street
Boulud Sud
20 West 64th Street
Café D’Alsace
1695 2nd Avenue
(text: Aki Watanabe)