茹でないベーグル/ Kossar’s Bialys

ニューヨーク名物のパンと言えばベーグルだが、「茹でないベーグル」ビアリーをご存知だろうか。アメリカで最も古いとされるKossar’s Bialysはベーグルで大人気の店だが、その店名が示す通りビアリーの名店でもある。

ビアリーとは、ポーランドのBialystokに由来する。当時、ロシアの占領下にあったポーランドで作られていたパンが、ロシア系ユダヤ人の移住によりアメリカにやってきた。ベーグルとの大きな違いは、ベーグルが焼く前に生地を茹でるのに対しビアリーはそのまま焼くという点。ビアリーには穴がなく、へこんだ中央部には刻みタマネギやガーリック、ポピーシードなどがのせられる。

Kossar’s Bialysがニューヨークに店を開いたのは1936年のこと。現在も手作りにこだわり、高品質な小麦粉を使い、タマネギも手で刻み、ブリックオーブンで焼き上げている。発酵の見極め、水や温度の調節など、職人の技術を活かし機械を使う工程を最低限に抑える事で、伝統の味を保っている。

ビアリーはベーグルと似たもっちりした、油分の少ないヘルシーなパン。噛めば噛む程、濃厚な旨味が楽しめる。茹でる工程がないため、ベーグルに比べるとややソフトな食感だ。Kossar’s Bialysのビアリーは少し塩味が効いているのが特徴。シンプルで日常的なパンだ。 トーストしてバターを塗ったり、クリームチーズで食べるのも良いが、やはりまずはそのままの味を噛み締めてもらいたい。

店内は殺風景ともいえるほどシンプルだ。奥で焼いたベーグルがすぐにレジカウンターの後ろへ運ばれ、瞬く間に売れて行く。ビアリーの他にも、数々のメディアで「NYベストベーグル」に選ばれている自慢のベーグルやプレッツエルなど、店内で焼きたてを販売している。売り切れる場合もあるのでくれぐれもご注意を!
(Text: Aki Watanabe)


COMPANY INFO
Kossar’s Bialys
367 Grand St,New York, NY 10002
http://www.kossarsbialys.com