ニューヨークの日本酒市場はここ10年で飛躍的に拡大、今では日本全国各地の地酒が飲めるレストランや、購入できるリカーショップが増えた。この日本酒発展の立役者の一人、酒ディスカバリーズ代表で酒サムライ、新川智慈子ヘルトン氏がまた新たな日本酒の楽しみ方「燗酒」をニューヨーカーに紹介すべく、冬季限定、毎週土曜日午後11時から午前2時で「Sake Caliente/酒かりえんて」のポップアップバーをオープンした。
酒かりえんての誕生は、新川氏が燗酒、居酒屋が大好きであるのと同時に、日本の酒文化発展の原点とも言える居酒屋で、土地柄によるお酒の違いや、温度での味の変化を味わってもらい、日本酒の魅力をさらに再発見して欲しいという同氏の思いによるもの。ここ数年で、ニューヨークでの日本食人気は更に上昇。以前のように「ジャパニーズレストラン」とひとくくりにはできないほど、ラーメン、カレー、蕎麦、焼肉、お寿司と専門店も増えた。居酒屋もそのひとつで、「いろいろなお料理とお酒を一緒に楽しむ場所」という定義を理解し、それを好むファンも多い。日本ではお財布にもやさしく、気軽に入れる居酒屋は沢山あるが、ニューヨークのように物価や家賃の高い場所では必然的に値段設定も高くなってしまうのが現実だ。
そこで、少しでも気軽に足を運んでもらえる場所にするため、既存のお店の通常営業後の深夜枠の数時間のみであれば、安くて美味しい一杯飲みやをニューヨークでも作れるのではないか?と考えた新川氏。東京の駅の近くにそっと昔からあるような、遅い時間でもほっとする一杯呑み屋のような存在をNYに作りたいという彼女の思いに賛同して、このコラボ企画に一肌脱いだのが、夜波来の大将、柴田氏だ。
新川氏と同様、柴田氏も燗酒が大好きで、 冷酒で飲んで美味しいお酒があるように、燗酒で飲むと美味しいお酒もあり、それらもニューヨーカーに紹介していきたいと考えていた。 「うちはアメリカ人のお客様が多いんですが、お店に入られたらまず冷えた体を温めてもらおうと、サービスで暖かいお酒を一杯お出ししてます。そうすると美味しい!といってそのまま、燗酒をオーダーしてくださるお客様もいらっしゃいます。」
記念すべきオープン当日に新川氏が選んだお酒は、燗酒定番銘柄の2種。すっきりドライで飲み飽きしない八海山本醸造(新潟県)と、こっくり旨味タップリの天狗舞山廃純米(石川県)。「寒い季節なので、45°〜50°くらいの上燗から熱燗で。温度高めでもバランスが崩れないお酒をセレクトしてみました。」
拘りのお料理は、、夜波来のキッチンから。ポテトサラダ(半熟卵乗せ)、もろきゅう(3種の魚沼産の味噌を添えて)、もつ煮込み、おでん、炊きたての魚沼産コシヒカリのおつまみごはん、そして、東京屋台のチャルメララーメンをイメージした夜鳴きそばなど、東京の一杯呑み屋をイメージのラインナップ。料理はすべて10ドル以下で、値段設定もとても良心的。
新川氏と共にニューヨークで日本酒のプロモーションを行っている、酒サムライのティモシー・サリバンさんも、ニューヨークには食に興味を持ち、新しい事を学びたいとうい姿勢の人が多いので、今まで知らなかった燗酒の世界に足を踏み入れる日本酒の中級者、上級者が今後確実に増えるという。
「Calienteは、スペイン語で熱いという意味です。私の日本のお酒文化への情熱、温めたお燗酒、そして皆様からお借り(かり)した、ご縁(えん)とお手(て)があって、初めてこの酒かりえんてが実現できたのです。」と語る新川氏。この寒いニューヨークの冬、冷えた体を熱燗で暖めながら、ローワーイーストサイドで、新たな日本酒の楽しみ方を発見するニューヨーカーが増えるであろう。
酒ディスカバリーズ
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