Royal Rose

カクテルに豊かな風味や色彩を与えるシロップと言えばザクロを使ったグレナデンが有名だが、ハーブやフルーツの自然の味そのものを凝縮したハイセンスなシロップがブルックリンから発信されている。

始まりはピーチのシロップだった。当時教師だったEmily Buttersは、パークスロープの自宅キッチンで使い切れなかった桃を保存用のビンに詰めていた。バービジネスで10年以上の経験を持つForrest Butlerは、そのビン詰めで残った液をカクテル用のシロップの風味付けに使うことを思いついた。Emilyはさらにアイデアを追加した。モモのシロップにバニラとバジルを少し、黒胡椒を一振り加えたら・・・？数日後、Forrestはそのシロップをジャーに満杯にしてバーテンダーの相棒に持って行った。カクテルにその魔法の液を使ったところ、ほんの数時間で売り切れたのだ。こうしてRoyal Roseは生まれた。

手応えを得たその次の週には、30から40通りもの実験を重ねた。夢中だった。特定のスピリッツに合うように、種類の違うフルーツやスパイスを組み合わせる事を考えた。例えば、テキーラに甘さと草原の香りを、またはオーク樽熟成のラムにスモーキーなフレーバーと大地の香りを与えるには？試行錯誤を繰り返した結果、３種の異なるホットペッパーを使った甘くスモーキーでくせになる味のThree Chiles syrupを生み出した。

製品はオールシーズン販売されているクラシカルな「Rose」、アロマ効果が期待される「Lavender-Lemon」、濃厚な甘みの「Tamarind」、暖かなスパイスを感じるCardamon-Clove、バーの定番「Raspberry」、やみつきになるホットな「Three Chiles」の６種に加え、「Strawberry-Fennel」など季節の素材を活かしたものがラインナップ。１回に600本しか作れない、小さなバッチの手作りのシロップだ。原材料にもこだわり、100％オーガニックのスパイスやハーブ、果物にフェアトレードの砂糖を使用している。もちろん、保存料や着色料などの化学物質は不使用。製品は全て独立した分析機関で検査されるため、品質が保証されている。

ニューヨークは勿論、ニューハンプシャーやオレゴンでも販売されている。楽しみ方もカクテルだけではなく、アイスクリームやヨーグルト、グラノーラにかけても美味しい。紅茶やコーヒー、レモネードもシロップ１さじでワンランク上の味わいになる。他にも、タイ料理の揚げ物料理と「Three Chiles Syrup」の相性は抜群。いつもの食事が上質になるこのシロップ、ぜひ試してみて！

(Text: Aki Watanabe)

(上)Royal Roseはカップルで作り上げたブランド。Emily Butters と Forrest Butler。（中）少量を丁寧に手作りで製造する。（下）定番の６種類。カラフルなラベルが特徴のボトル。