2008年3月31日、日本全国34店舗を構える一風堂が、NY、イーストビレッジに第一号店をオープンした。在ニューヨーク日本人、そしてヌードル文化に馴染み始めたニューヨーカーが待ち望んだ本格ラーメン店だ。
オーナーの 一風堂は、94年に博多から関東に進出したことをきっかけに、「海外展開するならば、世界の中心のニューヨークへ」というビジョンを99年に掲げた。しかし2001年の同時多発テロで、ニューヨークは精神的、そして経済的に痛手を追う。また、同時期に上海出店の話が持ち上がったこともあり、ニューヨークでの挑戦前に海外オペレーションに慣れるためにも、隣国である中国への進出を決める。この間もニューヨーク進出の為の物件探しは平行して行われた。「空き物件があるからそこに」という姿勢ではなく、一風堂がニューヨークでフラッグシップ店をオープンするにふさわしい物件が見つかる迄探し続けるという妥協しない物件探しの末、2007年4月に今の物件と出会った。
レストラン泣かせのニューヨークでは予期せぬ工事の遅れや書類手続きに時間がかかるのは当たり前。一風堂のケースも例外ではなく、物件が決まってから約1年後のオープン。ガス工事の遅れが原因で、レストランでの試作や試食がオープン寸前まで出来ないという悪状況を強いられた。アメリカの食材を日本に送り、そこで試作品を作るなどの苦労を乗り越え、記念すべき3月31日のオフィシャルオープンを迎えた。
「ニューヨークの一風堂は、ニューヨーカーが、ラーメンは勿論、それ以外の食事も楽しめ、デザートやお酒も楽しめる。トータルでダイニングを満喫できるレストランです。」と語るのは、GMの本田氏。レストランの顔であるラーメンは、「白丸元味(13ドル)」、「赤丸新味(13ドル)」、「味噌ラーメン(12ドル)」、そして「醤油ラーメン(12ドル)」の4種類。そして他にも「つけ麺(16ドル)」や「麺サラダ(12ドル)」がメニューに並ぶ。
「麺サラダ」はベジタリアンの多いニューヨークでのオリジナルメニューとして登場。ほうれん草と人参を練り込んだ麺が入ったサラダだ。その他のお食事メニューは、サラダ、豚角煮と大根、鶏の唐揚げ、串カツ、一風堂ロール寿司等。本日のおすすめと日替わりのメニューも用意されている。
ラーメン文化の歴史の浅いニューヨークでの成功は、地元のお客様からのサポートにかかっているがゆえ、「ラーメン以外のメニューも加えてバリエーションを増やす」という戦略をとる。しかし、スタイルを柔軟に変えても、一風堂の本質は不動である。「味とサービスは日本と同じクオリティーで。」という方針から、ニューヨークに来た社員は皆、日本では店長やマネージャークラスだった人ばかり。その中には、麺やスープの職人もいる。オープンキッチンで威勢良く料理をする調理部隊。出来上がった熱々の料理を手際よく、お客様のテーブルに運ぶホールスタッフ。このすばらしい連携は、日本の光景と同じである。
オープンして1ヶ月。平日9割ぐらいはアメリカ人のお客様。週末には日本人の家族連れも、日本の味を求めて店を訪れる。GMの本田氏に「予想していなかった展開は?」と訊ねると、「アメリカ人のリピーター客が多いことだ」との答え。カウンター席がお気に入りの客は2時間でも待つという。そして面白い事にアメリカ人の方でも常連になればなるほど、最初は「赤丸」を食べていたのが、「白丸」派に変わっていくという日本と同じ現象が起きているということ。
ラーメンや一品料理のメニューは沢山日本から用意してきており、今後、少しづつメニューに加えていく予定。今後どんなラーメンが登場し、ニューヨーカーを虜にしていくのか?ますます目が離せない一風堂だ。
RESTAURANT INFORMATION
IPPUDO NY
65 4th Avenue, New York,NY10003
Phone: 1-212-388-0088
www.ippudo.com/ny/