最近ニューヨークではラーメンブーム真っ盛り、各店舗いかに日本のラーメンの味を追求できるかという挑戦をしている。そんな中、今、新しいビジネスが次々と誕生し注目を集めているブルックリンに、一味違ったブルックリンスタイルのフュージョンラーメン店「Dassara(ダッサラ)」がオープンした。
オーナーのJustin DeSpirito氏、Lana Yang氏、 DassaraのシェフJosh Kaplan氏は大のラーメン好き。以前からラーメン屋を開きたいと考えていたそう。店の名前の由来はなんと日本語の「脱サラ」。彼らは脱サラを、いままでの居心地のいい場所から夢に向かって踏み出すという形でとらえ、店の名前に使用した。
店はオシャレなレストランストリートとして注目されているスミスストリートにオープン。このエリアを選んだのは、彼らがブルックリン出身で、近くにラーメン屋がなかったことがきっかけだそう。店内に入ると入り口から半分バーになっていて、ラーメンと一緒にオリジナルのカクテルも楽しめる。カクテルのメニューには日本のお酒を取り入れたドリンクもあり、ここでもまたアメリカと日本の融合を楽しめる。
フードメニューも日本の伝統的なラーメンとは異なり、とても独創的。たくさんのラーメンを食べ歩き、研究したうえで、最初は伝統的な日本のラーメン屋をオープンしようとも検討したが、アメリカ人の彼らだからこそ出来る新しいオリジナルのラーメンを作りたいという情熱がこの店のコンセプトへと繋がった。
レシピ作りも手掛けるシェフのJosh氏によると、「例えばイタリアのピザがアメリカに入り、ニューヨークピザとして進化を遂げたように、伝統的なラーメンというよりは、あえて型破りなものにチャレンジすることによって、ニューヨークにおけるラーメン進化の新しい一歩になるのではないか」というのがブルックリンラーメンの信念だそう。「いまラーメンブームでニューヨーカーに対するラーメンの認知度が上がっています。アメリカ人の中にもダッサラのラーメンをラーメンじゃないと言う人もいますが、でもそれだけラーメンがニューヨークに定着しているということですよね。でも美味しければそれでいいんです」とJosh氏は語る。
メニューは"not Ramen"と"Ramen"のセクションに分かれており、"not Ramen"の方にはアメリカのラーメン店ではおなじみの包やサラダなどアペタイザーが用意されている。夏のメニューの一押しは、旬のトマトを使った「Heirloom Tomato Salad」赤青黄の色とりどりのトマトと一緒に、ハーブ、味噌漬けされたベーコンにかつお節がかかっている。味噌漬けされたベーコンの塩気がトマトにマッチするさっぱりとした一品だ。また「Broiled Oysters」は蒸し牡蠣の上にベーコン、そしてエスニックなチリソースがかかっている。チリソースの刺激的な味と牡蠣の風味が香る一品。
"Ramen"セクションのおすすめは「Deli ramen」。鶏ガラベースのスープに中太ちぢれ麺、トッピングにはメンマやネギ、セロリ、温泉卵。その他にも、近くの肉屋から仕入れたCanadian smoked beef, Pastramiを使用したMatzo ballとチャーシュー。Matzo ballとは、ユダヤ教の食べ物で原料は小麦粉と水だけ。見た目は丸いボールの様で、食感はつみれに似たような感じ。
Josh氏がラーメンのトッピングにセロリやMotzo ballを入れようと考えたきっかけは、チキンベースのスープに乗せるトッピングのアイディアとして、まず思い浮かんだ、小さい頃に彼のおばあちゃんが作ってくれたセロリとMotzo ballが入ったチキンスープ。絶対ラーメンにも合うと考えたのがきっかけだそう。
アメリカ人だからこそ出来る新しい食材の組み合わせは、ニューヨークスタイルに進化したラーメンを創り出している。いま現在提供しているメニューは夏用で、秋頃にまた季節に合った新しいメニューを提供するために、試行錯誤している最中とのこと。「秋になったらまた面白いメニューが出るから、それもお楽しみに!」と語るJosh氏からは新しいラーメンを創作する意気込みが感じられた。これからも注目したいアメリカンラーメン店だ。
(Text: Kimi Tsuchiya)
[STORE INFORMATION]
Dassara Brooklyn Ramen
271 Smith St Brooklyn, NY 11231
TEL: 718-643-0781
http://www.dassara.com/
営業時間:
Sun: 5pm-10pm
Mon-Thurs: 5pm-11pm
Fri-Sat: 5pm-midnight
Tuesday: Closed