ニューヨークで最初のレストランをご存知だろうか?アメリカで初めて料理本を出したレストランをご存知だろうか?それはレストラン業界に大きな影響を与え、アメリカの食文化の発展に大きく貢献してきた高級レストラン「Delmonico's」だ。
そのDelmonico'sの姉妹店「Delmonico's Kitchen」がミッドタウンにオープンした。Delmonico'sの伝統を継承しながらも、ニューヨークの新しいスタイルに合わせた店舗である。店内は高級感がありながらも堅苦しいイメージはなく、落ち着いた雰囲気の中で、親しみやすい印象を受ける。オーナーであるデニス氏は「高級感だけが先行し敷居が高くなるのは避けたい。多くのお客様が気軽に来店できる店舗にしたかった」と語る。開店して間もないが、既存店のお客様だけでなく新たなファンを獲得し、ランチ、ディナータイムともに賑わいを見せる。
Delmonico'sと聞いて、まず思い浮かべるのはステーキではないだろうか?骨なしのリブアイという部位がこのお店のシグニチャーステーキ。今ではそれが固有名詞となり、他のニューヨークのステーキハウスに「Delmonico'sカット」というメニューも存在する。牛肉の品質は最も拘り、牛は特定の農場で飼育され、抗生物質や合成飼料などは一切使わない。また、牛肉の加工・物流・保管においても、その管理は徹底されている。さらに熟成にもこだわりがあり、酸素に触れない環境で28~40日熟成させる。極めて長い熟成期間であり、Delmonico'sのステーキの美味しさの秘訣でもある。
前菜のおすすめは「Crab Cake "Egg Benedict"」。カニ肉がぎっしり詰まった揚げ物で、小さな半熟の目玉焼きが添えられている。半熟の黄身とカニ肉の美味しさが絡みあう上品な一品だ。そして前菜のもう一つのおすすめは「Tuscan Kale Caesar」。新鮮なケールにホワイトアンチョビと薄く削られたパルメザンチーズが散りばめられたシーザーサラダだ。ケールの苦味は無く、シーザードレッシングと一緒に美味しく頂ける。健康志向の高まる中でお客様のニーズに応えた料理だ。
ステーキで有名なレストランながらも、生ものの料理も多い。中でもおすすめは「Tuna Tartare」。新鮮なマグロ、青りんご、炒めたカブで作られたタルタルで、魚の臭みは全く無い。ややさっぱりとした味付けの中に、マグロの旨みとカブの甘味が見事に溶け合う。
メインは何といってもステーキである。一つ目のステーキは「Delmonico Stake」。ボリュームのあるやや厚切り肉のステーキであり、適度にグリルされた香ばしい香りが漂う。過剰な味付けはなく塩で頂くのがスタンダードだ。牛肉本来の旨みが堪能できる一品だ。そして二つ目は「Delmonico Double Bone In "John Krupa"」。とにかく見ただけでその美味しさが伝わってくる。一般的なステーキの外観とは大きく異なり、骨付きの巨大な牛肉がじっくりと料理されたもの。お皿に乗せられたものがテーブルまで運ばれるとその迫力に驚くことだろう。時間をかけて調理することで、肉の旨みを内部に閉じ込め、牛肉のジューシな味わいが楽しめる。どちらもDelmonico'sの看板を掲げたステーキであり、肉の品質に自信があるからこそ提供できる料理だろう。最後にデザートのおすすめは「Baked Alaska Ice Cream Cone」。こちらはDelmonico'sの代表とも言えるデザート「Classic Baked Alaska」をDelmonico's Kitchen風にアレンジしたもの。小さなアイスクリームコーンと一緒に可愛らしく盛り付けられている。表面は焦がされたクリーム香ばしい風味、中には冷たいアイスクリームが、温かさと冷たさが一緒になることで何とも言えないハーモニーを生み出す。デザートとしては最高の一品だ。
オーナーのデニス氏にレストラン運営の秘訣を聞いたところ、「常に最高の美味しさを提供すること。これに尽きる。」と言い切る。「料理の味が落ちるとお客様は敏感に反応する。お客様の期待に応え、常に最高の品質の料理を提供することが自分たちの使命である。」「そのためには価格ではなく品質で材料を選ぶこと。そして地元の新鮮な食材を使用することも大切な要素だ。」と語る。これまでの伝統に甘んじることなく、ミッドタウンで新しい挑戦を始めたDelmonico's Kitchen。新しい試みにこれからも目が離せない。
[STORE INFORMATION]
Delmonico's Kitchen
207 W 36th St, New York, NY 10001
(212) 695-5220
http://www.delmonicosrestaurantgroup.com/kitchen/