ハイエンドなレストランのメッカとして知られるトライベッカ。この人気のエリアが倉庫街だった28年前にオープンしたフレンチビストロ「Capsouto Fieres」。ジャックス、サミュエル、そしてアルバートの3兄弟がレストランを構える温かくも懐かしいフレンチビストロ。
かつてはスパイスマーケットだったというどっしりと重みある暖かなレンガ造りのビル。オープンから3年後、この場所で自慢のスフレが誕生した。ザガットを始め数多くの賞を受賞し、25年経った今も変わらず愛され続けるこの店の逸品。スフレの故郷フランスからニューヨークを訪れ、ここのスフレを食した人から、「最高のスフレをニューヨークで発見した」と絶賛された程。その魅惑的な味を堪能するためだけに店を訪れる人もいるという。中でも一番人気はチョコレートスフレだ。
その美味しさの秘密は全てレシピに隠されていた。卵、クリームペストリー、コンフィチュアー(ジャムやピュレ)、そしてリキュール。チョコレートスフレにはオレンジリキュールとブランデー。スフレごとに違うフレーバーのリキュールを加える。「素材全てのバランスが決め手なんだ」と語るのは3兄弟の一人、ジャックス氏。
15分もの時を経て、やっとお客様が出会うことのできるアツアツ焼きたての「チョコレートスフレ」。白く大きなスフレカップから、溢れんばかりに膨らんだ香ばしく色づいたチョコレートスフレが顔をだしている。仏語で「souffler(ふくらむ)」というその名の通りに、ふわっふわ。中央にサックリスプーンで穴が開けられ、チョコレートソースがとろりと注がれる。仕上げにふんわりとしたホイップクリームがトッピングされたら、柔らかさが損なわれていない5分以内に迷わず食べきるのがベスト。
まずスプーンを縦に持ち、生地を潰さない様にサクサクと切り崩す。そして、たっぷりとチョコレートソースのしみ込んだスフレをすくう。淡くやわらかなスフレと、しっとりと濃厚なチョコレートソースのハーモニーが口いっぱいに広がり、思わず笑みがこぼれてしまう。そしてスフレと共に楽しみたいのが、ジャックス氏ご推薦、フレンチデザートワイン「Domaine Pouderoux Maury Rouge 2005」。チョコレートの後味をワインの芳醇な甘さがとろける様に包み込み、まだ残るスフレの記憶をうっとりと楽しめる。
(メモ: 焼き上がり時間を見越して、デザートタイムの20分前に注文するのをお忘れなく!)