ロウアーイーストサイドのグランドストリート、チャイナタウンを東に抜けたへんぴな場所に「ドーナツ・プラント」はある。ドーナツを販売するブースのすぐ後ろには工場があり、作り立てのドーナツが小窓からトレーで運ばれてくる。店の中からドーナツが作られる過程を覗くこともできる少し変わった店構えが特徴だ。
「ドーナツ・プラント」は、マーク・イズリアルによって1994年の8月に創業されるが、レシピの歴史はさらに古く、第一次世界大戦後の1930年に遡る。最初のレシピはマーク・イズリアルの祖父、ハーマン・イズリアルによって作られたもの。16歳からベーカリーに勤めたハーマンは、1934 年に自分の店を開業し新商品の開発に尽力した。彼は1969年にこの世を去るが、その独自のアイデアを多くのレシピに残した。
当時まだ3歳だったマークは、祖父のレシピと共にニューヨークへやってきて、現在の「ドーナツ・プラント」を創業。地下工房で作られていたドーナツは、現在NYの高級デリショップやディーン&デルーカなどのカフェ約50店舗に販売し、毎日3,000個のドーナツをつくり続けている。2004年には日本の東京にも進出し、2010年現在は関東圏を中心に14店舗の支店がある。
この店では2種類のドーナッツが楽しめる。まず、イースト菌でふわふわに焼き上げられた「イーストドーナツ」。これには通常のリング状のドーナツと、珍しい四角い形のスクエアドーナツがある。スクエアドーナツは自家製のジェリーやクリームが中に入っている。お勧めは「ジェリードーナツ・ピーナッツバターグレイズ」で口に入れた瞬間にピーナツの香ばしい香りが広がり、中に入っているブルーベリージェリーの自然な甘さが楽しめる。
そして、ここでしか体験できないドーナツが、ケーキとドーナツがミックスされた「ケーキドーナツ」だ。「イーストドーナツ」よりも生地がしっとりとしている。
ニューヨークで大人気のクリームケーキドーナツ、「トレス・レチェ」は中にミルククリームが入っており、トロッとして口の中でとろけるような食感だ。ちなみに、ニューヨーク店ではクリームブリュレも大人気商品の1つ。丸い生地の中にぎっしりと詰まっているクリームは濃厚な味わい。
朝早くに店に訪れれば、できたてほやほやのドーナツを手に入れられるのもニューヨーク店の醍醐味。少し足をのばして、是非食べておきたい逸品の1つだ。