パストラミとは、ハーブや調味料を加えて薫製、又は蒸し焼きにされた肉のこと。牛肉を使用するのが一般的だ。ロウアーマンハッタンに移り住んだ東ヨーロッパやロシアの移民が伝えた食べ物とされている。ニューヨークのデリだったら大抵メニューに並んでいる「パストラミ・サンドウィッチ」。温かいライ麦のパンにパスタラミとマスタード、というのが元祖ニューヨークスタイルのパスタラミ・サンドウィッチだ。
アッパーイーストサイドにある「Pastrami Queen/パストラミクイーン」はクオリティーの高いパストラミサンドウィッチを提供するとニューヨーカーに評判の店。「なんでクイーン(女王)?」とお考えの方は鋭い。実は1999年までは「Pastrami King/パストラミキング」の名前でクィーンズで営業をしていた同店。店舗を移動する際に今の名前に改名したそうだ。
この店のパストラミサンドウィッチを頼むと、まずはそのボリュームに驚く。日本のサンドウィッチにはあり得ないパンと肉のバランス。「こんな大量の肉、食べれる?」なんて心配はご無用。空腹で来店さえすれば、しっかりと全て胃の中に納めて帰宅できるはず!
柔らかくしっとり仕上がったビーフを「ガブリっ」とやると、口の中にはそのスモーキーなアロマとジューシーな肉の風味が充満する。噛むごとに肉からじわりと出る旨味が堪らない。この店のパストラミの特徴は、その味の良さだけではない。しっかりと脂身が乗っていながらも多すぎず、しつこすぎない。その微妙なバランスが素晴らしい。胃もたれせずにこの大きなサンドウィッチを完食することを可能にさせているのはこのお陰だ。
また、パンには定番のライ麦パンを使用。一口ごとにライ麦の風味が顔を出し、単調になりがちなパストラミサンドウィッチの良いアクセントになっている。柔らかいパンは肉をしっかりと包み込み、 手で持ち上げたときの安定感も良い。サイドディッシュにはコールスローとピクルス。コールスローの心地よい食感とピクルスの酸味は食事中の程よい箸休め代わりになる。
アッパーイーストサイド近辺に住む子供から老人まで、この店を訪れては、狭い店内でこの一品にかぶりついている。名前のとおり、NYに君臨する女王的なサンドウィッチ。ニューヨークにいる間に是非試して頂きたい一品だ。