オーナーのエミルさんは、メキシコシティー出身。食業界に入ったのは自然の流れだったと語る彼。1992年に家族がアルゼンチンスタイルのステーキハウスをオープン。当然のように家族の一員としてレストランで働くようになった。オープン当時、まだ10代と若かったエミルさんの毎日の仕事は、足りなくなったものを買いに走らされたりと雑用ばかり。その後、マネージャーの仕事を担当した。サーバーとしてのマナーや知識をつけるために専門学校にも通った。レストラン業が自分の進む道と決め、本格的にレストラン業を学びたいと思うようになり外食産業のメッカ、ニューヨークに行く事を決心した。
2001年に渡米し、レストランでの仕事を探し始めた。「なんでもやります」と飛び込みで入ったレストランで、まず最初はバスボーイとして働き始める。メキシコではマネージャーというポジションだったが、新天地では1から始めるという心意気で一生懸命働いた。その努力が認められ、ウェイターからマネージャーへ、そしてジェネラルマネージャーへと昇格。その間、ソムリエ学校に通い、料理に合うワインをお客様に提供する為の知識をつけた。当初の予定では、メキシコに戻りニューヨークで学んだ事を生かそうと考えていたが、大好きなニューヨークを離れることを躊躇い、この土地でレストランを開く事を考え始めた。
2006年の4月に他2人のパートナーと伴にCafe Condesaをオープンした。メキシコのCondesaという場所に軒を連ねる小さなレストランをイメージし、この名前を命名。レストランの場所は、人気の出始めているノリータを考えていた。しかし、物件探しに時間がかかったため他の地域にも目を向けることになり、今のウエストビレッジの物件を紹介された。 激戦区ではあるが、場所と建物に運命的なものを感じてこの場所に決めた。
レストランは連日朝8時からオープン。「営業時間も長いので、長時間労働はかなりの体力と気力が必要」と語るエミルさん。しかしお客様を最高のサービスで迎えるために、3人のオーナーのうち誰かが常時、店にいる事にしている。料理の質もお客様に期待を裏切らないよう、美味しく、そして常に同じ味で提供することを心がけている。「やはり、レストランの勝負は味。いくら綺麗なレストランでも美味しくないとまず話にならないよ。」
食に対する好奇心と「常に学びたい」という貪欲な気持ちがエミルさんの成功の理由ということは言う迄もない。今後、店舗を増やして行く予定と語る彼の目は、希望と期待に満ち溢れキラキラ輝いている。