マシューさんは、カリフォルニア州のフォルソム出身。トマト、米、ナッツ、コットンなどの農業が盛んな街で、山や川の自然に囲まれて育つ。カリフォルニアを出て、他の世界を見たいと思い、高校卒業後、同時期に大学を卒業した姉と一緒にボストンへ行く事を決める。1年間レストランでキッチンやサーバーの経験を積んだこと、そしてワインとの出会いをきっかけに、ますます食業界の面白みを体感するようになっていった。そんな折、家族が地元でレストランをオープンし、その手伝いの為に帰省する。当初、朝食とランチのみの営業を予定していたが、自分の責任でディナーをオープン。自ら厨房に立ち、当時のガールフレンドにウィトレスとして手伝ってもらいながら、レストラン運営を経験する。
家族のレストランを手伝いつつも、ボストン時代に興味を持ち始めたワインへの思いは強くなる一方。カリフォルニアという土地柄、カリフォルニアワイン以外の海外からのワインとの接点を少なく感じ始めていた。
自らのステップアップの為にまた新天地でチャレンジと、NYU在学中の姉を訪ねてニューヨークへ移住。アメリカン・ソムリエ・アソシエーションへ。ソムリエの資格を取得の為のコースを受講。その後イタリアンレストラン「パチェ」で、300種類以上のワインを扱い、イタリアワインについての知識を高めた。そして、ステップアップを目的として、タイムワーナービルの中にある「カフェ・グレイ」のソムリエに転職。
新しい職場、「カフェ・グレイ」初出勤の日、ワイン担当者が急遽レストランを辞めてしまい、レストランのワインプログラムについてなにも知らないまま、全てをまかされる事に。思わぬアクシデントもなんとか切り抜けたマシューさんの力量を見ていたのが、彼が食業界の師と仰ぐ、リチャード・ハラク氏だった。「ゴッサム・バー・グリル」、「レ・ベルナディン」等、ニューヨークのランドマーク的レストランでジェネラル・マネジャーを努めてきたハラク氏。彼の指導のもと3年間みっちりワインだけではなく、カスタマーサービスから人事、経営とレストラン運営について全てのことを学ぶ。
ソムリエとしてだけではなく、レストラン業の全てを身につけたマシューさん。現在新しいレストラン 「フォージ」のジェネラル・マネジャーとして、シェフと共にオープンの準備に尽力を注ぐ。同じ志をもった仲間とともに、自らのワインの知識とハラク氏から学んだことを活かして、新しいレスランで勝負をかけるのだ。