マーティンさんは、ドイツ出身。アプレンタシップという職業訓練課程を履修し、将来は料理人になるという目標のもとホテルで働く。週4日はキッチンで働き、1日は学校へ通う毎日を過ごし、3年間のコースを終えた後1995年に卒業。その後は、ドイツ、フランクフルト、スイスで働き経験を積む。8年間のヨーロッパでのシェフ生活に何か変化をもたらしたいと思い、休暇を利用して2004年の3月に友達を訪ねてニューヨークにやって来た。
マーティンさんにとって、世界中の食が集まるこの街は、とてもエキサイティングに感じられ、この街でシェフとして働きたいとうい気持ちが高まる。知り合いの紹介でその当時タイム・ワーナービル内にオープン予定だった「カフェ・グレイ」のスー・シェフとしてのポジションを得てニューヨークに移住。
言葉や文化に慣れ親しむには苦労はしなかったが、レストランのペースの早さには圧倒されたと語るマーティンさん。ドイツでは、ファインダイニングのディナー時には、席数一回転分の来客に対応するのが普通だが、ニューヨークでは、「プレシアターディナー」、「アフターシアターディナー」などと、一晩で何回転もする。これは彼がヨーロッパ時代に働いて来たレストランでは、考えられないことだった。
2006年の3月、イタリアでホテルをオープンする友人を手伝うために、9ヶ月間イタリアで過ごす。2007年の始めにはニューヨークに戻り、レストラン「GRAYZ」のオープン準備に入る。現在エグゼクティブ・シェフとして、料理はもちろんのこと、15-18人のキッチンスタッフの管理、食材のオーダー、客への対応、雇用など多岐に渡りレストランのオペレーションを統括する。
ニューヨークのレストラン界に魅了されたマーティンさん。本当に好きなことを仕事にできて幸せと語る。各国から集まるキッチンスタッフとアイデアを出し合いながら、 レストラン「GRAYZ」の認知度、人気度向上を目指す。