日本最小面積の香川県。小さな街から、日本中で讃岐うどん(讃岐=香川県の古い呼び名)ブームが巻き起こる。日本のみならず、世界の中心ニューヨークにも流行らせようと、3人の若者がSANUKI Projectと銘打ち、プロジェクトを立ち上げた。そして今では大きなチームとなり、NY Timesにも掲載されるまでとなる!その活動に密着!
ニューヨーク在住の、故郷香川県を愛してやまない同窓生、伊藤智子さん、中山美紀さん、三好拓朗さんの3人は意気投合!その名を“SANUKI Project”とし、2004年5月発足。その当時は、香川県という名前そして日本中でブームを引き起こした讃岐うどんでさえも、「世界の台所」ニューヨークでの知名度は低いものであった。
そこでまずうどんを知ってもらう為に考えたのが“うどんの作り方を直接見せる=実演披露”。百聞は一見にしかず、である。日本領事館に招いた本場うどん職人による実演、試食会は大盛況!初めて見る、パスタとはまた違う製法と、その滑らかな舌触りのJapanese Noodleは、多くのニューヨーカーを驚きの渦に巻き込んだ。
その後もSANUKI Projectの活動は続く。香川県を、うどんを世界へ!と同じ志を持ったメンバーを募り、香川県民のみならず日本を愛する同志が集まった。アジアン・アメリカ・チャンネル(全米オンエア)出演、ジャパン・アート祭り2005(ニューヨーク)実演披露・試食、ジャズ・アット・リンカーンセンター
(ニューヨーク)実演披露・試食等、SANUKI Projectはどんどん進出していった。
現在SANUKI Projectと強力タッグを組み、本物の味を提供してくれる専属讃岐うどん職人がいる。香川県坂出市にある、日の出製麺所3代目、三好修職人だ。
SANUKI Project伊藤さんと三好職人の祖父同志は親戚で、ある日伊藤さんからうどんで海外進出という熱い気持ちを聞き、夢に賛同!Japanese Noodle=SANUKI Udonを広めるべく、香川県とニューヨークを勢力的に行き来し、美味しいうどんを打っている。
日の出製麺所は、昭和5年創業。3代変わらぬ味を守り続け、数々の賞を受賞している。その研ぎすまされた独自の打ち方の右に出る者はそうそういない。元々は製麺所のみであった。
いくつかのうどん屋に出荷するうどんを作り、普段食する人と顔を合わせる事はなかった。しかし人々は日の出のうどんを食べられても、三好職人の洗練された感覚で湯で上げられるうどんの微妙な柔らかさ、こしを出す事はできない。
茹で時間や状態を見極めるのも職人技。そこで「作りたて、茹でたてのうどんを直接食べたい!」という声が日の出のうどんを愛する人達から集まるようになり、昼の1時間限定で、うどん屋として営業し始めた。
初代、先代がうどんを打つ過程を見て育った三好職人。心を込めて、正面から向き合い作られるうどんを、これからは日本中に、世界中に広めたいと、将来に向けて語る彼の目は輝いている。
今や海外メディアで取り上げられる事もあり、着々と“SANUKI Udon”の名はニューヨークに広まっている。先月2月に行われた映画UDONの英語版上映会は、満席!その前後に行われた実演披露・試食は大盛況。
「日本人は、食べ物までもとても繊細な感覚を持っているんだなぁ。」「SANUKI Udonは、その日の気候で微妙な配合を変え、同じ味をもって食べる人に提供する、何て素晴らしい!」「日本は先祖代々語り継がれるもの、それを大切にする国なんだね。」とニューヨーカーの反応も上々。
少しずつ讃岐うどんがニューヨークのみならず、世界に広まってきている。プロジェクトメンバーは現在、総勢約20人。今後更に人数を増やし、活動の場が多くなるにつれ、“世界食=SANUKI Udon ”になる日も近い。
また、SANUKI Projectがこれからのコンセプトとしている事がもう一つ。
現在、過疎化がじわじわと進んでいる香川県に、若者を呼び戻そうというものだ。
“讃岐うどん”を世界へ発信するのと同時に香川県“魅力ある県”であると知ってもらう為、これからもSANUKI Projectの活動は続く。外国人に日本のイメージを聞いて「スシ・テンプラ・サヌキウドン・カガワ」との答えが返って来る日を夢見て。
プロジェクトメンバー。ポーズはSANUKIの「S」。
打ち上がった麺の確認をする、三好職人。
“日の出製麺所秘伝の讃岐うどん”
外国人が毎日うどんを食べる日も近い?!