マンハッタンで最も多く富裕層が住む、アッパーイーストサイド。この地域にはセレブが住む高級タウンハウスが立ち並ぶ。この閑静な住宅街にイタリアンレストラン「Lumi (ルミ)」がある。1995年からこのレストランを切り盛りしているのは、ルミ。男性が多いレストラン業界の中で活躍する、数少ない女性オーナーだ。
ルミはアルベニア出身。母国では英語教師をしていたが、不安定な国内政情を懸念した父の勧めにより、ニューヨークに移住を決める。新天地で生きていく為に仕事を探していたところ、友人の紹介でイタリアレストラン「イル・カンティノーリ」にて、コートチェックの仕事に就く。その後、キャッシャーやコーヒーステーションの担当など異なった仕事を任される。大学でレストランマネージメントを学び、「ココバッツォ」でマナージャーのポジションまでのぼりつめた。7年間、同レストランでマネージメントの経験を積んだ彼女は、念願であった自分のレストランを持つ事になる。
1995年、彼女の名前と同じ名前のレストラン「ルミ」をオープン。オーナーとして、客一人一人へのパーソナルタッチを大切にしながら、近所の人達が気軽に立ち寄れるレストラン作りを心がけた。スタッフの雇用、トレーニングも全て彼女自身が対応。アメリカで成功する為に、寝る暇を惜しみ、全身全霊をレストランに捧げ恋愛よりも仕事を優先していった。普段はあまり外出をしない彼女が友達の誘いで出かけたパーティーで、将来のご主人、パトリックと出会う。彼も同様に普段は外出をあまりしない生活をしていたが、ルミと同じように友人の誘いでパーティーに参加。この運命的な出会いから数年の交際を経て、クラシック且つロマンチックな「ルミ」2階のダイニングルームでパトリックがプロポーズ。
「パトリックは、私の顔を『白く』する最高の男性」とルミは語る。彼女の故郷アルベニアのことわざで、「自分の顔が白くなる程、誇らしく思う」という言葉があるのだ。パトリックは、レストランを訪れる要人やセレブ、そして、ルミの家族に対しても礼儀正しいジェントルマン。ニュージャージーにある銀行に勤務し、多忙な日々を送っている。だが、オーナーとして多くの時間をレストランに費やす彼女を理解し、精神面だけでなく、レストランの実務においても全面的にバックアップ。
ルミ曰く、「キャリア志向の人が多いニューヨークでは、お互いの考え方、仕事、全てを尊重できなければ、よい恋愛、夫婦関係は築けない。2人きりとはいかないが、ルミとの時間と作るように心がけ、会社帰りにレストランに寄る事がパトリックの日課となっている。
最愛のパートナーの支えのもと、数少ない女性レストランオーナーとして頑張るルミ。彼女を筆頭に、100%の信頼を置くキッチンスタッフと最高のホールスタッフは一丸となり、13年もの間、クオリティーのあるサービスと食事を提供し続け、アッパーイーストサイドの住人の不動の人気を手に入れた。彼女が真心を込めて築きあげてきたレストランは、映画公開で話題沸騰の「セックス・アンド・ザ・シティー」の撮影にも使われた。どのシーンで使われるかは映画を見てのお楽しみだが、公開後、「セックス・アンド・ザ・シティー」ファンが世界中からレストランを一目見ようと訪れる事は間違いない。人生の紆余曲折を経て、家庭と仕事、そして成功を手に入れたルミ。 真のニューヨークウーマンの多忙な日々はまだまだ続く。
LUMI |
手作りパスタメニューはいつも大人気。
セックス・アンド・ザ・シティーの映画ロケハンがニューヨークのアッパーイーストサイドを最も完璧に象徴しているレストランと絶賛した内装。
撮影の時は、報道関係者、パパラッチと凄い数の人がレストランを取り囲んで大変だったと語るルミ。