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THE MARZOVILLA FAMILY マルゾヴィラファミリー ニューヨークで故郷、南イタリアの味を守り続ける家族に出会う

ブーツのような形をしたイタリア半島。そのかかとの部分のプリア地方は、オリーブオイルやワインの産地。特に、エクストラ・バージン・オリーブオイルは有名で、イタリア国内における50%はこの地域で生産されている。そして、質の高い新鮮な食材に恵まれたプリアの味を15年以上提供し続けているレストランがニューヨークにある。 長男ニコーラと妹のドミニカ、その母親であるドラのマルソヴィラ一家が支える「I Trulli(イ・トゥルーリ)」だ。

彼らがニューヨークにやって来たのは、今から38年前。母親のドラは子供たちの将来を考え、アメリカへ移住を決めた。既にニューヨークに来ていた従兄弟を頼り、住居と仕事を見つけるため、二人の子供を連れてやって来た。当時11歳のニコーラと1歳のドミニカと共に、ブロンクスのイタリア人街で新しい生活を始め、ドラは家族の生計を立てるため毎日縫製工場で働いた。ニューヨークという全く新しい環境だったが、古里プリアの味は家族の食卓で受け継がれていった。

若き頃のドラ。故郷イタリア時代。当時からパスタ作りは彼女の日課だった。今でも親戚に会いに、年に1度はイタリアを訪れる。

本格的な南イタリアの味が、一家の食卓を飛び出し、ニューヨーカーに紹介されたのは、1987年。ニコーラが初めてオープンしたレストラン、「TEMPO(テンポ)」にて。ニューヨークタイムスでも2つ星を受賞する人気のレストランになった。その後、1994年には「I Trulli(イ・トゥルーリ)」をオープン。10年以上経つ今も人気のレストランだ。飲食店の入れ替わりの早いニューヨークの街で15年も続くレストランには、ランドマーク的な存在感がある。その人気の秘密は、ドラが毎日作るパスタにある。

彼女のパスタ作りは朝8時半から始まる。ほぼ毎日全種類のパスタを作るが、数の少なくなった物を確認し、まずはそのパスタ作りから始める。パスタの生地をこね、乾かないようにサランラップに巻く。イタリアから買ってきた、パスタマシーンで生地をのばし、パスタの種類に合わせた大きさに切る。作業は二人の若いアシスタンと共に淡々と進められていく。

パスタ作りはドラにとって子供の頃から続く当たり前の日課。ニコーラがレストランを始めると決めた時にパスタを作りたいと自ら志願したという。「パスタ作りのほうが縫い物なんかして働くよりよっぽど簡単だったからだと思うわ。」と彼女は転職の理由を微笑んで語る。数年前にスタートした姉妹店「Centovini(セントヴィーニ)」のマネージメントで忙しいニコーラに代わって、今では娘のドミニカと共にレストランの切り盛りを行っている。

パスタ台で黙々と作業するドラに、「今日は何をつくっているの?」と声をかけていく常連客。まるで、台所で料理をする母親に夕飯の献立と聞いているかの様…。このアットホームな雰囲気と手作りパスタがニューヨーカーを魅了する最大の理由。イタリアからこの街に渡り、アメリカンドリームを手に入れたマルゾヴィラファミリー。これからも愛情のこもったイタリアの味を提供し続けてくれるだろう。


I Trulli
122 East 27th Street
Tel:212-481-7372
www.itrulli.com

ペコペコスペシャルインフォ!
某日本人メジャーリーグの選手も遠征でニューヨークに来た時には、必ずここで食事をしているようです。

計りも使わず、経験と感覚で同じサイズに作られるパスタはまさに職人技。

コシのある手作りパスタは、それぞれの形に合った具やソースで調理される。

レストランに入ると、とても暖かい雰囲気。夏は裏庭でも食事が出来る。