アメリカ南部の伝統料理、バーベキュー。その始まりは、「ブッチャー」と呼ばれるお肉屋さんで、 売れ残りやすい肉の固い部位も無駄なく販売することだった。スモーカーでゆっくりと長時間かけて調理し、安く労働者などに販売。柔らかくジューシーなバーベキューは徐々に人気が上がり、お肉屋さんがその場で食べられるレストランをオープンするようになる。今では、「バーベキュージョイント」と呼ばれる本格的バーベキューレストランが、アメリカの南部に多く存在する。
そして、ここ数年、ニューヨークでもバーベキューが秘かなブームとなり、専門店が続々オープン。テキサススタイルバーベキュー専門店、「HILL COUTNRY(ヒル・カントリー)」もその中のひとつ。オーナーのマークは、2003年からこのバーベキューレストランをオープンするというプランを練り、2007年6月にその夢を実現させた。
マークは東海岸で生まれ育ったが、両親はテキサス出身。子供の頃、祖父母や親戚を訪ねて、テキサスを何度も訪れた。その時の彼の一番の楽しみは、「クレイツ・マーケット」というバーベキュー・ジョイントで食事をすることだった。子供の頃の思い出として舌が覚えているバーベキューの味…そんな懐かしい味が、東海岸では味わう事ができない。それならば自らレストランをオープンしようと思い立ち、それまで働いていたコンピューター関係の仕事を辞めてレストランのオープンに向けて準備を始める。
レストランで彼が最もこだわった事は、「オーセンティック(本場)なテキサス」。バーベキューの調理において一番重要なスモーク用の木には、テキサスのポスト・オークを使用。この木は、スモーキーな匂いがそれほど強くないので、長時間肉をスモークするにはもってこいなのだ。また、テキサスの写真が至るところに飾られた内装には、テキサス流に大勢で席を共にするためのコミューナルテーブルが並べてある。ドリンクメニューには、テキサスでは人気の「ビッグ・レッド・ソーダ」という甘めの炭酸飲料が並ぶ。
オーダーの仕方もテキサスのバーベキュージョイントスタイル。肉屋のように、バーベキューが量り売りとなっており、各自レストランに入った時に受け取るミールチケット(食券)を店員に渡し、購入したものに印をつけてもらい、食後にレジで清算する。ファーストフード店や、モール内のフードコートでの食事のように、支払いを済ませてから食事をするというのではなく、「支払いは後!まずは暖かいものを暖かいうちに食べてもらいたい」という客に対する心遣いなのだ。
ニューヨークで生活するテキサス出身者から絶大なる支持を得ている「ヒル・カントリー」。本場さながらの味と雰囲気を提供し、ニューヨークのバーベキュー人気の向上に一役買っている。世界の食が集まるこの街で、テキサスを体験できる数少ない場所の一つである。
Hill Country |
HILLCOUNTRYでの食事方法を、
スタッフのパトリックさんがご紹介!