冬といえば鍋!日本食ファンの多いニューヨークでは、冬の鍋文化も徐々に浸透してきています。でもそれだけが鍋ではございません。しゃぶしゃぶやすき焼き等の定番メニュー以外にも冬季限定オリジナル鍋を出しているレストランがあります。味とコンセプトに拘るニューヨークで食べられる鍋料理をご紹介!
可愛らしくからしが添えられた、小さな土鍋にお目見えするのは、安陪料理長が腕を振るう「味噌おでん」。聞こえはどこか懐かしく、濃厚な八丁味噌のこんにゃくおでんを彷彿させるが、ここENの味噌おでんはかくも上品。西京味噌と白味噌に、白だしを加えて炊いたはんなり味のおでんなのだ。
定番のじゃがいも、たまごにジューシーな厚揚げ。味の染みた大根に、もっちり生麩とほこほこの里芋が京風なお上品さを醸し出す。牛スジは和州牛、口の中でほろりととろける柔らかさ、ほうれん草といただきたい。海老しんじょは、手間ひま掛けてつくられたENお手製。海老すり身の優しい旨味が口一杯に広がったところに、味噌お出汁を一口。ほんのり甘い味噌出汁が心地よく体に染み渡る、ほっと思わず溜め息のでる美味しさだ。関西風でも関東風でもない、ここENでしか食べれない、安陪料理長自慢の逸品、是非御賞味あれ。
毎年恒例ENの冬期限定お鍋、今年はなんと“獺祭大吟醸酒粕鍋”。その贅沢な名前を耳にしただけで、心までも温まりそうなこのお鍋。日本から取り寄せた名高い大吟醸「獺祭」の酒粕をふんだんに使った地鶏のお鍋。
地鶏始め、自家製地鶏つくね、白菜、春菊、えのきにしいたけ、くずきりにうすあげ、旬の具材は一つ一つ丁寧に鍋に並べられ、10分程度火を通す。ことこと煮立った鍋蓋を開けると、ふわりと柔らかなお酒の香りに包み込まれる。大吟醸「獺祭」は168時間かけ、2割3部を残すまで丹念に削られたお米から作られる。かくも柔らかい酒粕の香りは,この小さな中心の極めて柔らかい部分のみを使用した「獺祭」の成せる業。
香りを楽しみながらお出汁を一口、白みその優しさと鶏ガラのコクが強過ぎず弱過ぎず、何とも雅びな酒粕風味。地鶏は柔らかく、EN自家製つくねはショウガの香りが堪らなく後を引く。クイっと一杯、キリリと冷えた日本酒、勿論獺祭をいただきたい。身体の芯から暖まるこの酒粕鍋、勿論これもENのみでしか食べられない3月一杯までの季節の逸品、大吟醸獺祭と是非御賞味あれ。
石狩鍋といえば、いわずと知れた北海道の代表的お鍋。そのふたを明けると、ふわっと湯気がたち、その向こうにみえてくるのは、ピンク色のサーモンとオレンジ色にきらきらと光ったイクラ。春菊の緑色との色のコントラストも美しい。1人用の子鍋に、サーモン、ジャガイモ、キャベツ、ネギ、春雨、えのき、春菊が所狭しとぎっしりと具が詰まっている。お出汁は、あっさり白みそベース。お鍋を取り皿に取るときは躊躇せずに、お玉をぐぐぐっと下迄入れてすくいあげる。そうすると下に詰まったジャガイモがお目見えする。通常、お鍋は締めにご飯やうどん等で締めるが、ジャガイモが入ったこの石狩鍋は締めいらず。ホクホクなジャガイモ、白菜に比べて歯ごたえもあるキャベツ。また、汁を飲んだ時知らず知らずのうちに口の中にはいっているイクラを噛んだ瞬間に口の中で、「プチッ」とはじける。素材の味だけではなく、食感でも思いっきり鍋を堪能することができる。薬味は山椒。あっさりとした風味が鮭にぴったりだ。海の幸、山の幸が豊富な北海道ならではの一品である。
「牛鍋」と聞いてどのような鍋を想像するだろう?おそらく、薄切り牛肉の入った鍋?すき焼き?しゃぶしゃぶ?連想してしまう。目の前に登場するのは、一瞬ビーフシチューではないか?とと目を疑ってしまう。まるでデミグラソースのような濃厚なソースは、八丁味噌、赤味噌、日本酒そして出汁。中にごろごろと牛肉が入っている。
さいころ状に切られたサーロインの肉をまずさっと炒めて、お肉の中の水分を出す。水分がでた牛肉は、そのぶん水分を吸い込もうとするので、そこで、加えられた味噌、お酒そして出汁をぎゅっと吸収するのだ。そこに、たまねぎ、しいたけ、白菜、焼き豆腐、春菊、ねぎを加えて約5分火にかける。肉が硬くならないように、煮込みすぎないのがコツなのだ。
食べるときは、挽き割り黒こしょうをかけていただく。甘辛い味噌の味にはよいアクセントになり、うまみの詰まった牛肉にもよくあう。千切りのごぼうしゃきしゃきとした歯ごたえがばまらない。見た目は味が濃いそうなんだが、食べると病みつきになる味。白いご飯と食べても美味しい。