一歩レストランに入るとまるでエーゲ海の青い海と輝く太陽の中を航海しているよう。トライベッカにオープンして8年目を迎える「Thalassa/サラサ」では、青い照明と天井に張り巡らされた上品な帆を基調としたデザインで大人がくつろげる癒しの空間を演出している。
オーナーのマクリス一家は、もともとギリシャの食料品の輸入業を営み、現在Thalassaがあるビルを輸入食材を保管する倉庫として使用していた。その後、ギリシャ産の新鮮な食材を生かしたレストランを 同ファミリーがオープンすることとなった。
トライベッカというロケーションに合わせ、アップスケールでコンテンポラリーなアプローチのメニューと内装が特徴。高い天井でゆったりした空間のメインダイニングエリアに加え、二階には120人~200人を収容できるプライベートダイニングがあり、結婚式会場として人気のスポットでもある。オープンしてから、何百人というカップルが人生の門出を祝ってきた場所でもある。また地下はプライベートダイニング兼ワインセラーとなっている。
そのワインセラーには、グリークワインをはじめ、アメリカ、フランス、イタリアなどの世界中のワインが常時5000ボトル揃っている。ワインリストの厚さに圧巻されるが、ワインを熟知したソムリエが料理に合わせたワインを予算や好みを聞いてからセレクトすると共にワインの解説もしてくれる。
前菜は彩り豊かで繊細。どれもひとつひとつ丁寧に作られているのが感じられる。羊乳独特のコクと塩気が特徴のフェタチーズとオレガノ、松の実を詰めた「CALAMARI/カラマリ」をはじめ、タコを塩、レモン、ハーブ、オリーブオイルなどでマリネした「PORTUGUESE OCTAPODI/ポルトガル産タコ」。塩漬けの魚卵をほぐしてマッシュポテト、オリーブオイル、レモン汁などを混ぜた「TARAMOSALATA/タラモサラタ」は、メニューには載っていないがスタッフに言えばすぐに用意してくれる。
メイン料理のお勧めはやはりシーフード。魚市場のように氷の上に並べてある様々な魚から好みのものを選んで料理方法を指定できる。TURBOT FILLETはカレイをハーブとアーティチョークと一緒にフライパンで外はカリッと中はしっとりと焼きあげる。フレッシュなレモンをタップリ絞っていただく。付け合せのアスパラガスやマッシュルームリゾットの美味しさもメイン料理を引き立てる仕上がりとなっている。
デザートは伝統的なギリシャ料理レストランに比べて甘さ控えめで日本人の口にもあう。羊乳のヨーグルトに蜂蜜がかかった「Thick Sheep’s Milk Yogurt 」は、まるでチーズケーキを食べているかのように濃厚だが、蜂蜜の甘さとヨーグルトの酸味のコンビネーションが絶妙だ。シトラスカスタードが、レイヤーになった薄いパイ生地にはさまれた「Galaktoboureko」 、ギリシャのデザートの代表選手「Baklava」も食事の最後を締めくくるにはもってこいの一品達だ。
美味しいワインとシーフードを雰囲気よく楽しみたい方にお勧めのレストランだ。